2月7日に行われたミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、2夜目の定期演奏会。
5. Abonnementkonzert d
7. Februar 2015, 19h Philharmonie im Gasteig
Karl-Heinz Steffens, Dirigent
Nemanja Radulović, Violine
Die Münchner Philharmoniker
Edward Elgar
„Introduction and Allegro for Strings“ op. 47
Niccolò Paganini
Konzert für Violine und Orchester Nr. 1 D-Dur op. 6
1. Allegro maestoso
2. Adagio espressivo
3. Rondo: Allegro spirituoso – Un poco più presto
Edward Elgar
Symphonie Nr. 1 As-Dur op. 55
1. Andante: Nobilmente e semplice – Allegro
2. Allegro molto
3. Adagio
4. Lento – Allegro
初日の大人気を受けてか、会場のCD売り場が増設。掲示ポスターの枚数が増え、売り場も拡大。スタッフさんも増えていました。本当に凄いな。
残念ながら満席とはならず、7~8割ほどの入りに見えた客席。
開始前から緊張してしまい、少し具合が悪くなってしまいました。
聴くだけなのに緊張って我ながら呆れますが、あのガスタイク独特の雰囲気には気圧されてしまいます。
気もそぞろで正直エルガーなんて殆ど記憶にないくらい・・・・。
そしてこの日の演奏が本当に強烈でした。
凄まじいの一言。とにかく凄かった。
過去イタリア、フランス、ドイツ、日本と様々なオケと演奏されたパガニーニのヴァイオリン・コンチェルト1番。
これまでに聴いたどの演奏より、凄まじい集中力で、気迫があって、一音一音が研ぎ澄まされていました。
息をするのも忘れてしまいそうなほど見事なカデンツァ。
極限までメリハリをつけた強弱のバランス、細部まで完全にコントロールされた正確な音を、自由に歌わせるような本当に素晴らしい演奏。そして鮮烈に美しいピツィカートが今でも耳に焼き付いて離れません。
ドイツのラジオで放送されたので聴かれた方もいらっしゃるかと思いますが、本当に非の打ちどころがない素晴らしい演奏でした。
そして演奏中のネマニャ君のこの上なく美しいこと。
一瞬一瞬が本当に怖いくらい凄まじく美しく、演奏中の横顔は絵画のようでした。
ヴァイオリンを弾いている時のネマニャ君の美しさはこの世のものとは思えない。
すべてを音楽に捧げて、ご自身の魂を削るような演奏。きっとそこに込められた凄まじいまでの覚悟が、これほどまでにネマニャ君を美しく見せるのだろうなと思いながら聴いていました。
本当にその音もそのお姿も美しすぎて夢の中にいるみたいでした。
これまで「ヴァイオリンの貴公子」とか「悪魔」「魔神」など様々な呼び名をつけられてきたネマニャ君。そして中でも一番よく言われるのが「パガニーニの生まれ変わり」。
私はこの台詞が好きではありません。
私にとってネマニャ君は他の誰にも変わることができない特別なヴァイオリニスト。
誰かの生まれ変わりなどではなく、ネマニャ君そのものが私には特別で最高な存在。
でもこの日ばかりは「パガニーニの生まれ変わり」と言われる訳がわかった気がしました。
パガニーニもきっとこんな風に人間離れした演奏で、観る者、聴く者すべてを魅了したのだろうなと。一度魅入られてしまうと二度と離れることができない。まさに悪魔みたいな存在ですね。
ネマニャ君の演奏を聴いていると日常の些細なことがどうでもよくなってしまいます。
小さな悩みだったり、困ったことだったり、悲しいことだったり。誰かに対する羨ましさや妬みだったり。自分に対する不甲斐なさだったり。
そんなことが全部どうでも良くなって、「この演奏さえあれば生きていける。この演奏を聴くために私の人生はあるんだ!」と思い「明日からまた頑張ろう!」と思えてきます。
私の人生の意味はネマニャ君の演奏を聴くという非常にシンプルな、でもとっても凄いことなんだって改めて思いました。
本当に凄すぎる人。
終盤はとても嬉しそうに幸せそうに演奏されていました。音楽に没頭している時のネマニャ君は本当に心から幸せそうで、その笑顔を見ていると嬉しくなってしまいます。
この日も会場中から盛大な拍手喝采を送られていたネマニャ君。
アンコールにはパガニーニのカプリース24/5。
休憩中のサイン会も大盛況。
凄まじい演奏の後で相当お疲れのはずが、お一人お一人に笑顔で丁寧にご対応されるお姿には本当に頭が下がります。
こういった姿勢もネマニャ君が世界中にいる大勢のファンの方々に愛される所以ですね。
そしてこの日はこのブログにも度々登場している(勝手にだけど。スミマセン・・・・・)お友達のK子さんご夫妻が日本から演奏会を聴きにいらしていたので、またもや図々しく終演後の夕食についていったワタシ。
ガスタイク近くのレストランで、美味しいドイツ料理をご馳走になってしまいました。
★★★★
この7日の演奏会、録音されたものがドイツで放送されていますが、アンコール部分は別な日の演奏が放送されていました。
この日のカプリース24/5、会場での演奏はブレイク部分で演奏を止めています。
もちろんそういうアレンジという見方もできますが、これまでにそういった演奏をされたことがないので違和感を覚えて「さすがにお疲れなのかな。体調は大丈夫なのだろうか。」と感じていました。
その後、サイン会中に関係者の方に「実は風邪をひいていて、熱がある。」と聞かされました。
プロの演奏家である以上、体調管理も大切な仕事であるのは重々承知していますが、過密スケジュールに加えて本当に体力を消耗する演奏。
想像もできないほど過酷なコンディションだったと思われます。
それでも全くそれを感じさせなかった演奏。(アンコールがなければ、私も気づいていなかったと思います。)
その後のサイン会でも長時間ファンの方々に丁寧にご対応されていたお姿。
一流の演奏家であり続ける、大勢のファンの期待に応え続けるというのは想像する以上に大変なことなのだと、本当に極限までご自身の心身を削っていらっしゃるのだと、改めて思わされました。
もちろんご本人はそんな姿は決して見せないので、私には「薬飲んでお茶飲んだから、心配しなくて大丈夫だよー。」と笑顔で仰いましたが・・・・。
そんな状況でも周囲には心配させまいと明るく振る舞うネマニャ君の強さ、優しさ、そして音楽に対する真摯さ。
そんなことを皆様にもお伝えしたいなーと思って、書こうか書かまいか迷った上で、敢えてこの話を書きました。
一見華やかに見える演奏活動の裏で、ご本人が大変な思いで努力されていらっしゃること、細やかに周囲の方に気を配っていらっしゃること、そして本当に真摯に音楽に向き合っていらっしゃること。きっと皆様もご存じかと思いますが、少しでもお伝えできればいいなと思っています。
まあ、ご本人は本当に飄々としていらっしゃるので「ネマニャは本当に凄いね!」と言うと「僕全然凄くないよー。」と、「忙しいだろうけど、あまり働き過ぎないで無理しないでね。」と言うと「僕全然忙しくないよ。全然働いてないよー。」とお答えになりますけど・・・・・・ね(笑)
★★★★
5. Abonnementkonzert d
7. Februar 2015, 19h Philharmonie im Gasteig
Karl-Heinz Steffens, Dirigent
Nemanja Radulović, Violine
Die Münchner Philharmoniker
Edward Elgar
„Introduction and Allegro for Strings“ op. 47
Niccolò Paganini
Konzert für Violine und Orchester Nr. 1 D-Dur op. 6
1. Allegro maestoso
2. Adagio espressivo
3. Rondo: Allegro spirituoso – Un poco più presto
Edward Elgar
Symphonie Nr. 1 As-Dur op. 55
1. Andante: Nobilmente e semplice – Allegro
2. Allegro molto
3. Adagio
4. Lento – Allegro
初日の大人気を受けてか、会場のCD売り場が増設。掲示ポスターの枚数が増え、売り場も拡大。スタッフさんも増えていました。本当に凄いな。
残念ながら満席とはならず、7~8割ほどの入りに見えた客席。
開始前から緊張してしまい、少し具合が悪くなってしまいました。
聴くだけなのに緊張って我ながら呆れますが、あのガスタイク独特の雰囲気には気圧されてしまいます。
気もそぞろで正直エルガーなんて殆ど記憶にないくらい・・・・。
そしてこの日の演奏が本当に強烈でした。
凄まじいの一言。とにかく凄かった。
過去イタリア、フランス、ドイツ、日本と様々なオケと演奏されたパガニーニのヴァイオリン・コンチェルト1番。
これまでに聴いたどの演奏より、凄まじい集中力で、気迫があって、一音一音が研ぎ澄まされていました。
息をするのも忘れてしまいそうなほど見事なカデンツァ。
極限までメリハリをつけた強弱のバランス、細部まで完全にコントロールされた正確な音を、自由に歌わせるような本当に素晴らしい演奏。そして鮮烈に美しいピツィカートが今でも耳に焼き付いて離れません。
ドイツのラジオで放送されたので聴かれた方もいらっしゃるかと思いますが、本当に非の打ちどころがない素晴らしい演奏でした。
そして演奏中のネマニャ君のこの上なく美しいこと。
一瞬一瞬が本当に怖いくらい凄まじく美しく、演奏中の横顔は絵画のようでした。
ヴァイオリンを弾いている時のネマニャ君の美しさはこの世のものとは思えない。
すべてを音楽に捧げて、ご自身の魂を削るような演奏。きっとそこに込められた凄まじいまでの覚悟が、これほどまでにネマニャ君を美しく見せるのだろうなと思いながら聴いていました。
本当にその音もそのお姿も美しすぎて夢の中にいるみたいでした。
これまで「ヴァイオリンの貴公子」とか「悪魔」「魔神」など様々な呼び名をつけられてきたネマニャ君。そして中でも一番よく言われるのが「パガニーニの生まれ変わり」。
私はこの台詞が好きではありません。
私にとってネマニャ君は他の誰にも変わることができない特別なヴァイオリニスト。
誰かの生まれ変わりなどではなく、ネマニャ君そのものが私には特別で最高な存在。
でもこの日ばかりは「パガニーニの生まれ変わり」と言われる訳がわかった気がしました。
パガニーニもきっとこんな風に人間離れした演奏で、観る者、聴く者すべてを魅了したのだろうなと。一度魅入られてしまうと二度と離れることができない。まさに悪魔みたいな存在ですね。
ネマニャ君の演奏を聴いていると日常の些細なことがどうでもよくなってしまいます。
小さな悩みだったり、困ったことだったり、悲しいことだったり。誰かに対する羨ましさや妬みだったり。自分に対する不甲斐なさだったり。
そんなことが全部どうでも良くなって、「この演奏さえあれば生きていける。この演奏を聴くために私の人生はあるんだ!」と思い「明日からまた頑張ろう!」と思えてきます。
私の人生の意味はネマニャ君の演奏を聴くという非常にシンプルな、でもとっても凄いことなんだって改めて思いました。
本当に凄すぎる人。
終盤はとても嬉しそうに幸せそうに演奏されていました。音楽に没頭している時のネマニャ君は本当に心から幸せそうで、その笑顔を見ていると嬉しくなってしまいます。
この日も会場中から盛大な拍手喝采を送られていたネマニャ君。
アンコールにはパガニーニのカプリース24/5。
休憩中のサイン会も大盛況。
凄まじい演奏の後で相当お疲れのはずが、お一人お一人に笑顔で丁寧にご対応されるお姿には本当に頭が下がります。
こういった姿勢もネマニャ君が世界中にいる大勢のファンの方々に愛される所以ですね。
そしてこの日はこのブログにも度々登場している(勝手にだけど。スミマセン・・・・・)お友達のK子さんご夫妻が日本から演奏会を聴きにいらしていたので、またもや図々しく終演後の夕食についていったワタシ。
ガスタイク近くのレストランで、美味しいドイツ料理をご馳走になってしまいました。
本当に久々のまともなお食事。さらば、ホット・カルピス(笑)
ご一緒できて楽しくって、美味しく完食しました。
K子さん、いつも本当にありがとうございます(*´▽`*)
またどこかで是非ご一緒しましょうね♪
★★★★
この7日の演奏会、録音されたものがドイツで放送されていますが、アンコール部分は別な日の演奏が放送されていました。
この日のカプリース24/5、会場での演奏はブレイク部分で演奏を止めています。
もちろんそういうアレンジという見方もできますが、これまでにそういった演奏をされたことがないので違和感を覚えて「さすがにお疲れなのかな。体調は大丈夫なのだろうか。」と感じていました。
その後、サイン会中に関係者の方に「実は風邪をひいていて、熱がある。」と聞かされました。
プロの演奏家である以上、体調管理も大切な仕事であるのは重々承知していますが、過密スケジュールに加えて本当に体力を消耗する演奏。
想像もできないほど過酷なコンディションだったと思われます。
それでも全くそれを感じさせなかった演奏。(アンコールがなければ、私も気づいていなかったと思います。)
その後のサイン会でも長時間ファンの方々に丁寧にご対応されていたお姿。
一流の演奏家であり続ける、大勢のファンの期待に応え続けるというのは想像する以上に大変なことなのだと、本当に極限までご自身の心身を削っていらっしゃるのだと、改めて思わされました。
もちろんご本人はそんな姿は決して見せないので、私には「薬飲んでお茶飲んだから、心配しなくて大丈夫だよー。」と笑顔で仰いましたが・・・・。
そんな状況でも周囲には心配させまいと明るく振る舞うネマニャ君の強さ、優しさ、そして音楽に対する真摯さ。
そんなことを皆様にもお伝えしたいなーと思って、書こうか書かまいか迷った上で、敢えてこの話を書きました。
一見華やかに見える演奏活動の裏で、ご本人が大変な思いで努力されていらっしゃること、細やかに周囲の方に気を配っていらっしゃること、そして本当に真摯に音楽に向き合っていらっしゃること。きっと皆様もご存じかと思いますが、少しでもお伝えできればいいなと思っています。
まあ、ご本人は本当に飄々としていらっしゃるので「ネマニャは本当に凄いね!」と言うと「僕全然凄くないよー。」と、「忙しいだろうけど、あまり働き過ぎないで無理しないでね。」と言うと「僕全然忙しくないよ。全然働いてないよー。」とお答えになりますけど・・・・・・ね(笑)
★★★★
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