7月31日にフランスのノルマンディー地方の海辺の小さな町、アロマンシュ(Arromanches)で行われた演奏会です。
7月24日から31日まで行われたこのフェスティバル、様々な演奏会が無料で楽しめたのですが、このクロージング・コンサートのみ有料でした。
とはいえチケット代は破格の15ユーロ!
こんな値段でネマニャ君を聴けるなんて、またもや罰が当たりそう・・・・。
当初発表されたプログラムは、チャイコフスキーのヴァイオリン・コンチェルト。
ネマニャ君の演奏するチャイコンは本当に美しいので、とても楽しみにしていましたが、途中でプログラムが変更されました。
でも変更後のプログラムの中に、「シンドラーのリストのテーマ」のオーケストラ・ヴァージョンが入っていたので、これはこれでとっても楽しみでした♪
チケットは電話予約となっていましたが、私はフランス語は一切できないので、メールで予約をお願いし、演奏会の前日にアロマンシュの観光協会で受け取りました。
恐らく日本人の予約がよほど珍しかったのか、受け取りに行くなり、「(ネマニャの)ファンなの?」と聞かれました。
当日のプログラムはこちら。フェスティバルのオフィシャル・サイトから抜粋です。
Dimanche 31 juillet - 18h00 - Eglise d'Arromanches
Concert de Clôture
Ouverture de Don Giovanni, W.A.Mozart
Introduction et Rondo Capriccioso, C.Saint-Saëns
La Méditation de Thaïs, J.Massenet
La Liste de Schindler, J.Williams
Airs Bohémiens, P. de Sarasate
Symphonie n° 4, L.V. Beethoven
Violon: Nemanja Radulović
Direction: Nicolas André
Orchestre du Festival
町全体がフェスティバル・ムードに包まれていました。
演奏会の開始時間は18時。
会場の教会へ向かいます。
こちらが会場のEglise d'Arromanches
チケットに座席番号が無かったので、恐らく自由席。
1時間前に会場に到着しましたが、既に開場を待っている方々が。
皆さん、待ちきれないご様子でした。
約30分ほど前に開場。教会内は細長い造り。
前から6列目くらいまでは関係者用の座席だったので、私が座れたのは10列目くらいでした。
内部は残念ながら撮影NG。
華美ではなく、至ってシンプルな造りながら、薔薇窓から差し込む光が柔らかく、素敵な教会でした。
あっという間に教会内は満席に。
18時を少し過ぎた頃に、開演。
最初にこの演奏会のディレクターさんと、指揮者さんのトークがありました。
ディレクターさんはVincent Legoupilさん。
ご経歴をパンフレットで拝見しましたが、ノルマンディー生まれで、カーンの国立高等音楽院ご出身のバソン奏者(さすがフランス♪)の方だそうです。
とても素敵な方でした。
でも、このトークが思った以上に長かった・・・。
フランス語でのマシンガン・トークは、もちろん意味がわかる訳もなく、音楽みたいに聞こえてくる。
そして、ようやく演奏がスタート。
オケは弦が第1ヴァイオリンから6・6・4・4・3、これに2管編成で総勢37名でした。
今回の演奏会の為に結成されたオケの様で、皆さんパリからいらしていた様です。
この教会の雰囲気の中で聴く、ドン・ジョヴァンニの序曲。
冒頭の迫力に、転調した後のウキウキ加減。
まさしく序曲にピッタリな演奏でした。
そしていよいよネマニャ君の登場♪
この日もフワフワの長髪をなびかせて颯爽と登場。
黒の上下に黒のインナーで、そしていつもの心和む素敵な笑顔。
演奏順はマスネの「タイスの瞑想曲」が1曲目になっていました。
以前にハーピストのマリエルさんとネマニャ君の演奏で聴いた事がありましたが、オーケストラとの演奏は初めて。
本当に繊細で美しく、かつ情感たっぷりに歌いあげるような音色でした。
2曲目はサン=サーンス。「序曲とロンド・カプリチオーソ」
ネマニャ君の演奏会のプログラムでたまに見かけて、前からとても聴いてみたかったので嬉しかったです。
序盤の哀愁溢れるメロディーは哀しく美しいし、ロンドはスペイン風でありながら、ネマニャ君の演奏だと、ちょっとロマというかジプシー的な要素も加わって、とても小気味良い演奏。
かなりテンポを上げて演奏されているようでしたが、速いパッセージも、もたつく事が一切なく1音1音が本当にクリア。
素人が聴いても、相当難しく思えるこの曲を、いとも簡単に弾いているように見えてしまうから、本当にこの人は凄い!と思わざるを得ませんでした。
普段は某・有名ヴァイオリニストのCDで聴いていますが、若干もっさり演奏している気がするので、このネマニャ君の演奏のスマートさは、本当に恐ろしい才能&ご本人の凄まじい努力としか言いようがないです。
素晴らしい演奏でした。
会場も大喝采。曲毎にネマニャ君は一度袖に引っ込み、登場する度に会場中から大拍手。
3曲目はジョン・ウィリアムズ「シンドラーのリストのテーマ」
ここ最近はTrillesの演奏会でアンコールによく弾いていらっしゃいますが、このオーケストラ・ヴァージョンはより音に深みが加わり、ネマニャ君の美しい旋律が際立って、本当に美しかったです。
またもや感極まって泣いてしまった・・・。
こんなにも美しい場所で、こんなにも美しい音楽。
生きているって素晴らしい・・・・。
怖かったけど、手術頑張って良かった!と今更ながら思いました。
そして演奏が終わったら、袖に引っ込む事無く、指揮者さんに何かを話しかけたネマニャ君。
そのままサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」へ。
これも某・超有名(お名前は自粛・・・・)ヴァイオリニストさんのCDでいつもは聴いているのですが、ネマニャ君の演奏は全く違って聞こえました。
冒頭の悲劇的な感じの、重苦しさを引きずるような音色は、思いっきり重厚感を出しつつ、2部は心に染み入る美しさ。
そしていきなりテンポをあげて、Allegro molto vivace!!!
言葉通り、めちゃくちゃ溌剌と快活に!!!
「うわーっ!!!!キター!!!!」と叫びたくなる、アドレナリン大放出な、ド派手な演奏!!!
ネマニャ君の恐ろしく速いパッセージに、オケも全然負けていません。
ジャンジャン鳴らして鳴らしまくって、素晴らしく高速かつ高度な演奏で、あっという間にフィナーレへ。
素晴し過ぎて、凄過ぎて、もはや号泣に近い状態の私。
隣に座っていらしたマダムに「泣いているの?大丈夫?」と心配される有様・・・・。
本当に素晴らしい演奏でした!!!
観客の皆様も大喝采。スタンディング・オベーションでブラヴォーの声が飛び交いました。
ネマニャ君もとっても満足気なご様子で、嬉しそうでした。
オケの皆様もとっても清々しい良いお顔♪
そしてアンコールにはブラームスの子守唄をピッツィカートで披露♪
意外な選曲に会場からは笑い声が。ウィット溢れる演奏で楽しかったです。
余りの演奏に、ボーっとなってしまい、ベートーヴェンの4番は心ここにあらずだった私。
後半は正直言って余り覚えていません・・・。
終演後、再びヴィンセントさんの挨拶があり、ネマニャ君も再度舞台に呼ばれました。
既に私服に着替えていらして、客席を抜ける様に小走りで現れる様子に、会場からは笑い声と温かい大拍手♪
最後まで和やかな雰囲気で、温かく素晴らしい演奏会でした。
この日は休憩中と、終演後と2度もサイン会がありました。
サインを頂いたり、お話させて頂いたり、お写真撮ったりと、皆さん思い思いにネマニャ君と交流♪
ご本人もとっても楽しそうにされていました。
ネマニャ君は本当にファンの方々に優しくって、私にも色々とお気遣い頂きました。
世界的な演奏家でありながら、ファンの方々1人1人に本当に丁寧にご対応されるお姿には、毎回感動します。
そして会場で、ネマニャ君のFan pageでよくお顔をみかけるファンの方と偶然お逢いできました。
お友達のお友達なので、お互い存在は知っていたのですが、お逢いしたのは初めて♪
短い時間でしたが、お話させて頂いてとても楽しかったです。
こうしてまた新しいお友達ができたり、素敵な場所に来れたり、素晴らしい音楽を聴けるのも、本当にネマニャ君のお陰です。
本当にネマニャ君の音楽に出逢えた事、そしてネマニャ君の存在そのものに心から感謝しています。
また、素晴らしい演奏を聴ける日を心待ちにしております。
そしてこの日のビッグ・サプライズ。
「これ君に。」ってネマニャ君にいただいた封筒。
封筒の表には私の名前が入っていました。
中に入っていたのはアロマンシュの素敵な絵葉書。
裏にはサインとメッセージが入っていました。
嬉しすぎる贈り物!感激!
ネマニャ君、本当にありがとうございました!!!