10月25日にオーストラリア・メルボルンにて行われた演奏会の感想です。
Ensemble Liaison with Nemanja Radulović
Friday 25 October 2019 7pm
Melbourne Recital Centre Elisabeth Murdoch Hall
David Griffiths clarinet
Svetlana Bogosavljevic cello
Timothy Young piano
Guest artist
Nemanja Radulović violin
Program
J.S. Bach
Clarinet Sonata in D minor BWV1034
Handel-Halvorsen
Passacaglia for violin and cello
Aram Khachaturian
Trio for clarinet, violin & piano in G minor
Béla Bartók
Romanian Folk Dances
Johannes Brahms
Piano Quartet Op.25, No.1 in G minor
メルボルン・リサイタルセンターでのリエゾンさんとの演奏会は4度目のネマニャ君。
チケットの売れ行きも上々で、僅かに残っていたチケットも演奏会当日に完売したようです。
ホール外壁に掲示されていたポスター。
チケットと共に記念にパシャリ。
リサイタルセンターのフリーペーパーの表紙がネマニャ君でした。
もちろん記念にいただきました。
ステージはこんな感じ。
開演は19時。
この日は余裕を持ってホールに到着。
ホバートでは遅刻してしまい聴けなかったバッハからゆっくり聴くことができました。
リエゾンさんのCD「Rhapsody」に収録されているクラリネットソナタ。
ライブで聴くのを楽しみにしていました。
デイビッドさんのクラリネットの音色が本当に美しくて、なんだか懐かしくて子供の頃を思い出すような郷愁溢れる音でした。
リエゾンの皆様はそれぞれが個性が強くて自由に演奏されていらっしゃるように見受けられるのに、3人の音が合わさるとそれぞれのピースがピッタリはまるような感じがします。そして音楽をとても楽しんでいらっしゃる感じが何より素敵です。
2曲目はヘンデル/ハルヴォルセンのパッサカリア。
プログラムの中にこの曲を見つけて「オーストラリアに行く!」と即決した曲です。
ネマニャ君が弾くパッサカリアが大好きな私。
ベオフィルの演奏会のアンコールでWネマニャで弾いた時と、Doubleの演奏会でドラガンさんと弾いた時、過去2回聴いた事がありました。
情熱溢れる演奏なのにどこか切なくて物哀しくて、その曲調がネマニャ君に合っている気がして、大好きです。
どちらの演奏も本当に素敵だったので、今でもはっきり覚えています。
2016年のリエゾンの演奏会でスヴェトラナさんとネマニャ君がパッサカリアを弾いた時は、術後でオーストラリアまで行けなかったのが悔しくて悔しくて。
ツイッターにアップされたリハ風景を見て泣いてしまったくらい。
それ以来ずっとスヴェトラナさんともう一度パッサカリアを弾いてくれないかな?と思っていたので、今回はようやく念願が叶いました。
重厚な音でありながら散りばめられたピッツィカートが華やかで、哀しさや寂しさを感じながらも、お互いを侵食しあうような丁々発止なスリリングな演奏。
畳みかけるようなスピードのネマニャ君に一歩も引かないスヴェトラナさんという、とにかく美しくって滅茶苦茶にカッコいい演奏でした。
この二人本当に凄いのです!
そして、この日の私的ハイライトはネマニャ君の素敵過ぎた髪型!
ステージに登場してきた瞬間に「ギャー!!!髪型!!!!好きー❤」と大興奮した私(ミーハーですみません・・・)
ヘアサロンでストレートに伸ばしたサラサラロングヘアのトップをお団子っぽくアレンジ。「シェヘラザード」のMVを髣髴とさせて大人っぽくてとても素敵でした。
と、新しい髪型にうっとりした後にネマニャ君が着ていたお衣装を見て「・・・・・ネ、ネマニャ君・・・・なんちゅう服着てるんだ・・・・。」と一瞬絶句してしまった私。
黒ラインが素敵な白いジャケット。
これはすごく似合っていました。素敵でした。
問題はその下に着ていたやつ・・・。
遠目だと普通に見えたと思うけれど、私の座席が最前列でネマニャ君の真正面に座っていたので・・・・(以下自粛)
でもそんなネマニャ君を見ていて、急に「いや、待てよ!ネマニャは本来はこういう人だったじゃないか!」と思い出したのです。
最近すっかり大人になって、普通っぽいお衣装(ネマニャ君にしては)が多かったので、すっかり忘れていました・・・・。
過去、素敵過ぎるお衣装や髪型、そしてメイクで何度も私や世間様の度肝を抜いてきたことを。
あまりにも自由過ぎるネマニャ君に対して「私は大好きだけど、世間様的に大丈夫なんですか・・・?」と勝手に何度も不安に思ったことを。
海外の演奏会ではステージに登場するだけで、そのあまりにも型破りなファッションに客席から苦笑いやクスクス笑いが起こっていたことを。(日本でも笑う方いますけどね・・・)
私もすっかり忘れていたけれど、ネマニャ君は元々こういう形にとらわれない、自分が気持ち良いと思う物を着る人じゃないか。
誰に何を言われても気にしないよって言う人だったじゃないか。
そしてそんな型破りなスタイルなのに、奏でる音色は正統派。
敷居が高いクラシックの演奏会にもっと大勢の人に来て欲しい、高尚と思われがちなクラシック音楽をもっと多くの人に楽しんで欲しい、そう願ってきた人じゃないか。
そんなネマニャ君に毎回驚かされたり、良い意味で裏切られたり、ずっとワクワクし続けて、テンションが下がるどころか、時が流れて月日が経てば経つほど、どんどんネマニャ君の音楽に魅了されて、ネマニャ君への尊敬の念と大好きって気持ちがどんどん強くなってきたではないか。
そんな事を思って、ネマニャ君があまりにもネマニャ君のままでいることが、なんだか途轍もなく嬉しくなってしまったのです。
「これでこそネマニャ・ラドゥロヴィチだ!!!」なんて思って、すっごく嬉しかったのです。
グラモフォンさんの専属アーティストになって、世界を股にかけ活躍している押しも押されもせぬトップヴァイオリニストになった今でも。
ネマニャ君はあくまでもネマニャ君だなぁと。
なんだかすっごく嬉しかったのです。
そんな事を考えて、とても幸せな気分になっていたメルボルンの演奏会。
続くハチャトゥリアンのトリオも凄く良かった!
デイビッドさんは動きがネマニャ君と似ていて、正にダンシング・クラリネット。
身体をリズムに合わせ大きく揺れながら奏でる姿に思わず笑みがこぼれます。
そして一見クールで物静かなイメージのティモシーさんですが、演奏はとっても情熱的でダイナミック。生きるパワーに溢れていて、どことなくスーザンさんを思いだしてしまいました。
このトリオのハチャトゥリアン、本当に楽しくて素敵な演奏でした!
そしてバルトークはもうスヴェトラナさんの独壇場!
情感たっぷりで哀愁に溢れ、かつ退廃的な香りと眩暈がするような色っぽさ。
スヴェトラナさんの音色、カッコよくて美しくって大好き!
ネマニャ君が本当に嬉しそうな顔で演奏中のスヴェトラナさんをずっと見つめている姿が印象的でした。
そしてネマニャ君のあの演奏・・・・思い出すだけではぁと溜息がでます。
本当に素敵だった・・・・。
これは是非映像化していただきたい!
Youtubeとかでアップしてくれないかな・・・。
もう幸せ過ぎて始終ほわーっとしていた私。
休憩後のブラームス。
第三楽章が凄く素敵なのです。
猛々しくて希望に満ちていて凱旋行進曲みたい。
そして第四楽章が未だに頭から離れません。
情熱的で華やかな旋律から悠久の時を感じるような哀愁溢れる音、そしてキラキラした宝石みたいに零れ落ちる音。
素敵でした。本当に素敵で始終泣き通しでした。
アンサンブル・リエゾン最高です!ネマニャ君最高です!
会場中から大喝采で拍手の嵐。ブラヴォーの声が鳴り響いていました。
リエゾンの皆様もネマニャ君もとても嬉しそうな表情をされていました。
アンコールは大判振る舞いの2曲。
チャルダッシュとセドラーさんのコロでした!
そしてこのチャルダッシュがもう最高過ぎました!
演奏途中にテンポを落とし、そのまま固まってしまって蝋人形みたいに微動だにしなくなったネマニャ君。
そこへそーっと忍び足で近寄ったデイビッドさんがネマニャ君の体の横でネジを回すような仕草をすると、それに合わせてスヴェトラナさんが「ギーコ、ギーコ」とネジを回す音をチェロで表現!(チェロってあんな音出せるのか!と驚愕)
するとゼンマイ仕掛けのネマニャ君が動き出し、再度ヴァイオリンを奏でるという、本当にお茶目で可愛くって楽しいアレンジ!
会場からも大喝采でした!
そしてリエゾンといえばコロ。
セドラーさんが作曲された瞑想曲と舞曲からなる「セルビアン・ファンタジー」。
2012年のアンサンブル・リエゾンとネマニャ君のオーストラリアでの演奏会が世界初演だったこの曲。
その後、この舞曲(コロ)だけアンコール時によく披露されるのです。
ニシュカ・バニャをモチーフにしているので、DoubleのPashona koloと同じフレーズが入っています。
セルビアの方が多かった客席からは自然と手拍子が起こり、皆様本当に楽しそうに聴かれていました。
大いに盛り上がったアンコール。
カーテンコール時にスヴェトラナさんからネマニャ君に花束のプレゼント。
わー、素敵♪と思って拍手をしながら見ていたら、ネマニャ君がスヴェトラナさんの方をチラッと見てそのまま私の目の前に来て、もらったばかりの花束を何故かステージ上から私に向かって差し出してくれた!!!
一瞬何が起こっているのか理解できなくてポカーンとしていたら、ネマニャ君がニコッと笑って渡してくれたので、椅子に座ったままで受け取ってしまったダメ過ぎる私・・・。
あまりにビックリし過ぎて立ち上がる事さえできなかったのです。
身体が震えだして、涙が溢れてきて、泣き顔で花束を抱えたままネマニャ君とリエゾンの皆様にお一人ずつ会釈をしたら、リエゾンの皆様も良かったね~と言わんばかりの笑顔で頷いてくださって、もう何が起こっているのかわかりませんでした。
隣に座っていらしたマダムに「素敵なお花いただけて良かったわね~。」と仰っていただき、更に涙が止まりませんでした。
ネマニャ君がステージ上でもらったお花を終演後に私にくださった事は過去何度かあったのですが、ステージ上からいただいたのは初めて。
本当に驚いてビックリしたのと同時に、ネマニャ君やリエゾンの皆様のお気遣いが嬉しくて感動して、カーテンコールが終わった後もしばらく席から立ちあがる事ができませんでした。
いただいたお花。大切に日本に持ち帰って、主人にお願いしてお花の蒸留水を造ってもらいました♪
終演後はホワイエにてワインのサービスがありました。
デイビッドさんやティモシーさん、スヴェトラナさんとお話できたので、演奏会の感想やお花のお礼などお伝えして楽しいひと時。
そしてそこへ現れたネマニャ君。
なんとかお花のお礼をお伝えできたのですが、感動し過ぎて言葉が出なくなってしまいました。
「演奏会の感想とか伝えたい事が山ほどあるけど、言葉が見つからないよ・・・。」と言ったら「大丈夫だよ!僕達長い付き合いじゃないか。」と言ってくれたネマニャ君・・・。
もうどこまで泣かせてくれるのでしょう(/ω\)
「この髪型どう?好き?」と聞かれたので「うん!大好き!ボルで撮影したMVみたいだね!私あのビデオ大好きだから、今日この髪型見れて凄く嬉しい!」と言ったら「日本人風のヘアスタイルでしょ~。」とちょっとどや顔していました。
えっとー。日本人でその髪型の人には会った事ないかもです・・・・。
全員揃ったところで、アンサンブル・リエゾンの2020年シーズンの発表やネマニャ君のご紹介がありました。
そしてその後ネマニャ君はサイン会。
在豪セルビア人の方も大勢いらしていた演奏会。当然サイン会は長蛇の列。
セルビア語が飛び交い、皆様ネマニャ君に対する称賛の言葉を次々にお伝えし、一緒に記念撮影されていました。
ネマニャ君も終始にこやかに楽しそうにされていました。
私もお願いして記念に1枚。
演奏中に汗をかいちゃって髪の毛のカールが少し戻ってしまっていますが、ステージに現れた瞬間はほぼストレートだったネマニャ君。
この髪型すっごく素敵だったので、是非来日公演でもお願いしたいな・・・・。
リエゾンさんのニューCDも購入できてサインもいただきご機嫌。
そういえばこの日会場でオーストラリア在住という日本人のファンの方にお会いしました。
「あなたもしかして日本人?ホバートにもいたでしょ?私もいたのよ。」と声をかけていただきました。
最近ネマニャ君のファンになられたそうで、6月のシドニー公演にもいらしていたそう。
「アデレードも行きたかったけれど、チケット完売だったの!でもこの後ブリスベンも行くのよ。」と仰っていました。
「明日のシドニーは行かないんですか?」と聞いたら「えっ?シドニー?そんなの聞いてない!スケジュールにそんなの出てないでしょ?」との事。
そうなんです・・・。
ホバートはほぼ完売。メルボルンも完売。アデレードも完売。
それなのに何故かシドニー公演だけ、あまり宣伝できていなかったようで、チケットが全然売れていなかったのです(涙)
「既に用事が入っているからシドニーには行けないわ。楽しんで来て!私日本にちょこちょこ帰国しているからそのうち遊びに行くわ。私この後別なコンサート聴くのよ。それじゃあ!」と颯爽と帰って行かれました。
この時点で22時前だったのですが、深夜から翌朝にかけて知り合いの方がご出演するコンサートがあると仰っていました。
海外在住の日本人女性ってタフな方が多いな・・・。
(私はこの時点で激疲れ・・・(;・∀・))
そういえばふいに思い出した。
6月のシドニー公演時も日本人の方にお会いしたのですが。
その方はビジネスでシドニーにいらしていた「僕はウィーン・フィルはウィーンで、ベルリン・フィルはベルリンで聴くんですよ。」という生粋のクラシック・ファン様。
終演後にネマニャ君のご感想を伺ってみたら「ピッチが正確だし、ボウイングも美しいね。」とお褒めいただいたのでした。
男性のクラシックファンの方にそんな風に仰っていただけたのがとても嬉しかったです。
そんな感じで海外の演奏会でも日本の方をお見掛けすることも増えてきました。
ネマニャ君の人気がどんどん高まっているのを実感します。
話がすっかり飛びましたが、素敵な演奏と素敵過ぎる出来事で、一生忘れられない想い出となったメルボルンでの演奏会でした。
ネマニャ君とアンサンブル・リエゾンの皆様には感謝してもしきれないです。
本当にありがとうございました!
毎回思うけれど、こんなにも幸せにしていただいているのに、私自身はネマニャ君に対して何一つできていないのがすごく悔しいし悲しいし残念。
どんな些細な事でもどんなに小さな事でも良いから、何かひとつくらいネマニャ君のお役に立てるような人間になりたいなぁと、烏滸がましいながらも毎回思ってしまうのです。
きっと私の人生はそれを見つける旅なのだろうな。